ボーカルマッサージ/ボーカル・マニュアルセラピーの目的は、「美しい声色の取得の助け」「楽な発声の習得の助け」「音域の拡大の助け」など多岐にわたります。
リラックスした発声器官の状態を作り、発声練習や歌唱と言った運動学習の向上の助けにする事により、技術習得を早める事が出来ると考えます。
ボーカルマッサージのターゲットの1つとなる筋肉群の一つが舌骨上筋群になります。
ターゲットの1つとなる筋肉群 舌骨上筋群
舌骨上筋群(suprahyoid)は、
顎舌骨筋(Mylohyoid),顎二腹筋(Digastric),茎突舌骨筋(Stylohyoid),オトガイ舌骨筋(Geniohyoid)の4つの筋肉です。(左右に対になっているのが特徴です)
「舌骨上筋群は、舌骨から頭蓋底または下顎に向けて上方に筋線維が走り、嚥下時には舌骨を介して喉頭を前上方へ引き上げる。(Sagusa 2010)」とあります。
歌唱時においては
1 下顎を後方に引いて口を開く
2 舌骨を介して喉頭を前上方へ引き上げる
これらが主な役割になると思います。
これらの筋肉が緊張状態になると何が起きるの?
これらが過度な緊張や疲労により硬直状態になると、
・顎の開きづらくなる
・喉頭が常に高く緊張状態になる
・緊張による発声器官の柔軟な動きを失う
等が考えられます。
英VOICE CARE CENTREのボーカルマッサージではCircum Larygeal(サーカム・ラリンジャル)やDigastric Release(ダイガスティック・リリース)と呼ばれる手技を使い、これらの筋肉の緊張状態を緩和させるようにします。
この部位はビブラート等の瞬発的な動きを必要とする時にも動きが認められるエリアですので、緊張緩和は非常に重要なエリアだと考えられます。
また、手技の特徴上、舌骨舌筋(hyoglossus)の一部にもアプローチしているものと考えられます。
舌骨舌筋は舌を凹ませたり引っ込めたりする役割があるため、調音や音色にも関わります。
柔軟な発声器官は過緊張発声状態をリラックスした発声に導くと考えられますので、発声練習だけではなかなかうまく行かない方はボーカルマッサージ/ボーカル・マニュアルセラピーをぜひお試し下さいませ。
お家で出来るケアは?
お風呂の際に首、顎をやさしくさするようにマッサージをするのは血行を良くしたり、疲労回復には効果的だと思います。
またお風呂で首までしっかり浸かって血行を良くするのもとても良い作戦だと思います。
首は各種神経や血管が多く通い、舌骨自体も力の加え方によっては骨折の恐れがあります。
深部のマッサージは避けた方が安全だと思います。
ボーカルマッサージ/マニュアルセラピーはこちらからどうぞ!
この記事を書いた人
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター日本人最高位レベル3.5(2008年1月〜2013年12月)
米Vocology In Practice認定インストラクター
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間およそ3000レッスン(のべレッスン数は裕に30000回を超える)を行う超人気ボイストレーナー。
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中。
所属・参加学会
Speech Level Singing international
Vocology in Practice
International Voice Teacher Of Mix
The Fall Voice Conference
Singing Voice Science Workshop
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