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女声の2つのミックスボイス。それぞれのトレーニング法とは?
女声でよく使われる地声と裏声の中間のような声、いわゆるミックスボイスは大きく分けて2通りありそうです。 その各種発声法の違いから、より力強い発声を習得するための方法を考えてみます。 計測に使う機材 EGG(エレクトロ・グロトグラフィ) 簡単にEGG(エレクトロ・グロトグラフィ)について説明しておきます。 EGGは喉頭の左右両方に電極パッドを装着します。 5mVと言う微弱電流を片方からもう一方に電気を流します。 例えば右から左に電気を流す場合、声帯が合わさっていない場合は電気は流れません。 声門が閉じた際に電気が流れ、1サイクルの中で何パーセント程度、声帯が合わさっているのかを計測する機材になります。 具体的な声門閉鎖の目安となるのは以下の通りです。 さらに歌声において各種発声の目安となる声門の閉鎖率は以下の通りです。 ケース1 裏声の発声で作られたミックスボイス こちらはF4の発声をミックスボイス(聴感上は裏声と地声の間のような声)で発声している女性の声です。 声門の閉鎖率は35〜40 %程度。 上記の表と照らし合わせる… 続きはこちら≫
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発声筋にも速筋と遅筋がある?
骨格筋は筋線維が収縮することで力を発揮しますが、収縮速度の速い「速筋」は、大きな力を短時間に発揮することができ、瞬発力やパワーが必要な運動を行うときに活躍します。 ただし疲労に弱いとされています。 一方、収縮速度の遅い「遅筋」は、長い間収縮し続けることができるので、持続的な運動を行うときに活躍します。 ただし瞬発的に強い力を生み出すのに弱いとされています。 人間の体は筋肉の部位により筋繊維の割合が異なります。 体の部位毎に使われる用途などによってこの割合を変えながら進化していったのかもしれませんね。 声をコントロールする喉頭の各種筋肉にも割合の違いはあるのか? National Library of Medicineに掲載されている論文では内喉頭筋の筋繊維の割合が書かれています。 Thyro-arytenoid muscle (甲状披裂筋) 声帯の収縮筋として機能。 発声においては声門閉鎖、地声の生成が主な機能とされます。 2/3が速筋。1/3が遅筋。 Crycothyroid muscle(輪状甲状筋) 声帯に張りを作る。 音程のコント… 続きはこちら≫
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プロのアーティスト達の「キー決め」の話し
- 2022.10.14
- お知らせ
プロのアーティスト達のボイストレーニングを担当していると楽曲の「キー決め」と言われる仕事を依頼される事があります。 オリジナル曲を書いている方にも、カラオケで歌う方にも参考になるかと思いシェアしようと思います。 キー決めとは多くの場合で、オリジナル楽曲、もしくはミュージカルなどの公演の中で歌う曲のキー設定を行う事です。 ミュージカルの場合、多くの場合で決められたキーで歌う事が原則となりますが、アーティストや名前や歌声が非常に有名な方の場合「アーティストの歌声の持ち味を活かせるキー設定」と言うのが重要になるので、現実的な話しとしてキー変更はよくあります。 では何がキー設定の重要な要素になるのでしょう? 1 アーティスト自身がある程度快適に歌える事 一般的に考えれば快適に歌える事が最優先されると考えられます。 あまりに低すぎる、高すぎると言ったキー設定では歌う事がストレスとなってしまいます。 2 誰が聴いてもそのアーティストのカッコいい歌声である事 プロの現場では歌声がカッコ良く聞こえる事。これがキー設定をする上で最も重要な項目と考えま… 続きはこちら≫
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歌唱に最適な呼吸法とは?
古くは歌は「呼吸の芸術」と呼ばれていた事もあるくらい重要視されてきました。 近年では声帯の運動解析や共鳴の音響解析に注目が集まり、逆に呼吸は軽視されているように感じます。 声を作るのには呼吸(Energy Source)、声帯(Vibration)、共鳴腔(Resonance)の3つが必ず必要となります。 歌において呼吸は必要な音程、音量、音色を出すのにあたり最適な呼気を声帯に送る必要があり、非常に重要なシステムである事に変わりありません。 呼吸→声帯で作られる原音→共鳴腔 と言った流れのプロセスになりますが、それぞれ三つ巴になっているように考えると良いと思います。 1つのシステムにエラーが生じると全てのシステムに異常が起こるようになります。 とすると、呼吸と言うシステムは共鳴、声帯と同じくらい重要な物になります。 いくつかの例として・・・ ・呼気が少なければ、声門の閉鎖は強くなります。 ・呼気が多すぎれば、(声門の閉鎖は弱くなる事もありますが、多くの場合で)過度に声門を閉じようとし、過緊張を引き起こします。それは声道の形状にも影響を及ぼします。… 続きはこちら≫
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呼吸のメカニズム 肺の容量について
声を出すのにあたり声帯の原動力となる呼気は非常に重要な役割を果たします。 今回は呼吸のメカニズムを紹介します。 肺は健康な成人で5〜6リットル程度の容積を持ちます。 この図はその容量をどのように換気しているのかを示した図になります。 一回換気量 (Tidal Volome) グラフの中腹で小さく上下している部分です。 主に横隔膜を使った呼吸とされています。 これはTidal Volumeと呼ばれ、リラックスをしている時、睡眠時の呼吸になります。 約500ml程度、吸って吐いてを繰り返します。 会話程度の発声、徒歩程度の運動が始まった途端に500mlの容量では息が足りなくなるため、次の容量に移ります。 呼気時には主に肺が元のサイズに戻ろうとする弾性と横隔膜のリラックスで行います。 ※横隔膜は吸気時に縮む(筋肉に力が入る)呼気の際には緩みます。 吸気予備量 (Inspiratory Reserve Volome) 会話をする、運動をする。そして歌を歌う時にはこの容量をフル活用します。 この時に使える息の量は3000mlくらい。 主に胸郭… 続きはこちら≫
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ベルティングボイスの作り方を解説します。
- 2022.09.20
- ボイストレーナーのお仕事 マインドセット・練習法
今回はVTチームのボイストレーナー向けの研修会の一部、「ベルティングボイスの発声法の訓練の仕方」について解説していきます。 ボイストレーナーの視線からなので「トレーニングの処方の仕方」という意味で書いています。 ベルティング発声とは? ベルティングボイスとは何でしょうか? 高くて力強い大きな地声と考えていただければいいと思います。 ここで定義しておきたいのが「叫び声」と「ベルティング発声」は大きく異なる物と言う事です。 まずは特徴を捉えていきましょう。 Techniqued Belt Voice(技術的なベルト発声)の特徴 ・トランペットのようなクオリティである ・力強く聞こえる ・音量変化が可能 ・美しい音色 ・繰り返し発声が可能 ・多くのボイストレーナーが好む声 Yelling voice(叫び声)の特徴 ・最も大きな声 ・音量の変化を起こせない(大きいのみ) ・美しい音色ではない ・ハイラリンクス ・サスティーン(音を伸ばすこと)は、ほぼ不可能 ・怪我しやすい(声帯出血、ポリープ、声帯結節など) ・多くのボイストレーナーが好まない声… 続きはこちら≫
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オーディション直前にボイストレーナーを変えるのはあり?
- 2022.09.02
- お知らせ
当スタジオにはオーディション対策のためにレッスンに通われる方が多くいます。 オーディション対策のために新規レッスンのお問い合わせを下さる方もいらっしゃります。 今回は「来週、再来週にオーディションがある」もしくは「明日、本番がある」というシチュエーションで初めてレッスンに来る方についてお話ししようと思います。 結論から言いますと、基本的にはおすすめしません。 オーディションの直前にボイストレーナーを変える、もしくは初めてレッスンを受けるような事はしない方がいいです。 継続的に師事しているボイストレーナーに習いましょう 特定の先生に継続的に歌や発声を習っているのであれば前日や前の週にレッスンを受けることは全く問題ないと思います。 長い間、継続している方法なので大丈夫です。 今回お話ししたいことは「初めて習う先生にオーディション対策のお願いをする」ことについてです。 僕たち使うボイストレーニングの一つの方法論としてどういうことをやるのかということから説明していきます。 ほとんどの場合、慣れている出し方が最も快適に感じます 僕たちの使っているSpeech … 続きはこちら≫
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あなたの「高い声の練習」間違ってませんか?
- 2022.08.23
- 歌手のための音声学
当スタジオにいらっしゃるお客様の半数近くが「高い声を楽に出せるようにしたい」とご要望されます。 「今までどのような練習をしてきましたか?」と聴くとあまり効果的ではない方法で練習してきた方もいらっしゃります。 今回はあなたの練習の仕方が本当に適切か、どうか判断する材料になればとこの記事を書いています。 まずは自分の声の何に問題があるのか見極めが大事 ある女性の生徒さんが「高い声が苦手なので、VTチームのYOUTUBEの”高い声用のボイトレメニュー”の練習をしています!」と言っていました。 実際にその方の声を聞いてみると、張りのある声ではなく地声が抜けてしまっているような発声でした。 これはライトチェストorノーチェスト(地声が出ないタイプ)にあたります。 彼女に「高い声の地声が苦手だったのではありませんか?」と尋ねると、彼女は「はい」と答えました。 高い声の練習をする前に、低い声でしっかり地声を出す練習が必要でした。 高い声を出すとどうしても裏声になってしまうのが癖だからです。 その日のレッスンでは地声をしっかり出すようなメニューにしました。 ボイストレーニング… 続きはこちら≫
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なんでこんなに声を自由自在にコントロールできるの?松浦航大くんの声の器質について
- 2022.06.20
- 歌手のための音声学
松浦航大くんがまだ若き日に何度かレッスンを受けてくれていたのでカルテを探したところ、Great Dramatic Tenorと書いてありました。 Great:素晴らしい、Dramatic Tenor:声の低めの声種 Dramatic TenorかBaritoneで男性の中低音の声種を指していて、本当に声が豊かだという印象を受けたかと思います。 ではなぜ高い声がこんなにも出るのか、なぜこんな声色がコントロールできるのかと疑問に思うかと思いますので、器質的な大きい要因について説明していきます。 松浦航大くんの声の特徴 では彼の特徴を見ていきましょう。 彼は非常に首が長いですね。 首の長い人は声道(声帯から唇までの距離)が長くなります。 声道が短ければ短いほど軽やかで高い声を増幅するのに向いている共鳴腔になります。 それから彼は背も高く体が大きいですね。なので体が大きい分、声帯も一般より長い可能性があると考えられます。 従って声帯が長いと低い音を鳴らすのが得意な可能性があるということになります。 そして彼は首が長く咽頭の位置が上の方にあります。高い位置にある… 続きはこちら≫
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松浦航大「フィラメント」解析〜後半〜
- 2022.06.10
- 歌手のための音声学
今日はものまねで非常に有名になった松浦航大君の「26人のものまねで1曲のオリジナルを歌う」と言う偉業を果たした楽曲「フィラメント」を使わせていただき、各アーティストの声色の特徴を解説していきます。 声色の特徴、歌い方の技術など参考にすべき技術満載ですので、ぜひ一緒に分析して、マネしてみてくださいね! 米津玄師さん、川崎鷹也さん、ジェジュンさん、スキマスイッチ大橋卓弥さんの声色と歌唱技術を解説していきます! 米津玄師さんの声の分析 ・喉頭の位置→真ん中 ・顎の開き方→中間 ・唇の開き方→横に広い ・軟口蓋の位置→高い ・鼻声母音→使わず ・母音のとらえ方→[a] ・声門閉鎖→強い&弱い(使い分けている) ・息の混ぜ方→少ない&多い(使い分けている) 喉頭の位置は比較的真ん中にいて、米津さんはニュートラルなサウンドなのではないかと思います。 航大くんの口の動きに注目すると横に開いているため、桜井さんほどは喉を上げないようにしつつも唇を横に開くことによって、まろやかさ・太さ・明るさを再現しているのではないかと思います。 特徴的なのが声門閉鎖が非常に強い… 続きはこちら≫