これって正しいの?

もちろんできます。
高音を大きく拡げるために行わなくてはならないのは、声帯が振動する場所を減らしてあげることです。
みなさんの声は、声帯と言う2枚の薄いひだが振動しあって発せられるものです。
ギター奏者が高い音を出すときには、フレットを持ち替えて弦の振動を減らしていますね。それとほとんど同じ事を、声帯にもさせてあげることが必要です。

具体的には、低音では声帯のほぼ全面を振動させますが、高音域では徐々に声帯の内側のみを振動させていく技術を身につける必要があります。
この技術を身につける事で、高音域を苦手としていた人でも、ある程度の高音を身につけることが可能になってきました!
これは昔から言われているらしいですね。
しかし、私の教える練習法では、「高音を開発していく事」は「ヘッドボイスを開発していく事」なのです。

ヘッドボイスは高音で歌うべき声域ですので「高音を鍛えるには高音を正しく出す」事が大切です。
しかしながら、ヘッド・ボイスとチェスト・ボイスは別の声区ですがお互い干渉し合っているので、「全ての声区の効率的な発声法」を教えていきます。

さらに言えば、低音~高音の行き来が上手になる必要があります。
これにより、よりクオリティの高い高音や低音を作り上げていくのです。
基本的には必要はありません。
もちろん、歌手は体力が必要なので、その向上を目的として腹筋を鍛えるのは良いことだと思います。欧米人に比べて、日本人の身体能力や筋力は低いと言われているので、むしろ行うべきでしょう。

しかし、多くの「伝統的」なメソッドではこれらを目的とせず、「強い息」を作るために腹筋を鍛えるように指導を行っているようです。
これは大きな間違いです。声帯に供給すべき息の量と言うのは、決して「強いもの」であってはいけません。
声帯の2枚のひだは、ティッシュ・ペーパーのようにもろいものなのです。
ここに強い息を当てて2枚のひだを強くぶつけ合わせ振動をさせては、すぐに痛めてしまいます。
声帯はみなさんが思っている以上にもろいものですので、みなさんはもちろん、トレーナーは最細の注意を払わなければなりません。
トレーナーが口癖のように言う言葉に「喉を開いて」という言葉がありますね。最も簡単に言うと、みなさんがあくびをしている時の喉の状態を指している事が多いと思います。
喉の奥が開いている感じ、そして喉仏が下がっていく感覚を得られるでしょう。
では、これが歌を歌うための最良の状態なのでしょうか?

私の答えは「ノー」です。
私の推奨する喉の状態と言うのは、口の奥が閉まっていなくて喉仏が上がっていない状態です。しかし、それはあくびの状態ではありません。最もニュートラルと言える“みなさんがしゃべっている時の喉の状態”が、歌うべき喉の形と考えています。
もし、みなさんの口の奥が閉まって喉仏が上がってきてしまう状態の場合は、「あくびの喉」を作ってもらう事もありますが、それはあくまで一時的なリハビリだと考えています。

呼吸方法

腹式呼吸は、みなさんが寝ている時に行っている一番自然な呼吸法です。
息を吸い込んだ時にお腹が前に出て、息を吐く時にはお腹がへこみます。

これとは逆に、胸式呼吸というものがあります。
これは息を吸い込んだ時にお腹がへこみ肩が上がり、息を吐く時にはお腹が出て肩が下がります。
例えばお友達とカラオケに行ってみれば、そのお友達がどちらで歌っているかは簡単にわかると思います。
ご自身でそれを知りたいのならば、大きめの鏡の前に立って一曲歌ってみるとどちらで歌っているのかわかると思います。
「歌を歌うためには、リラックスをする事が必要です」とよく聞くと思います。
では、前の項目に書いてある胸式呼吸で、大きく息を吸い込んだ時に首に手を当ててみてください。
首に筋が浮き出てしまうくらい力が入ってしまう方もいると思います。
これでわかっていただけたと思います。
胸式呼吸は、リラックスの弊害となるひとつの要素となりえるからです。
基本的には、ないと考えていいと思います。
「自然な腹式呼吸」ができていれば、特に問題はありません。
もし付け足すとすれば、「声を発するための楽器、声帯にゆっくりと息を供給する腹筋の柔らかい動き」だと思います。

ブリッジ・パッセージエリア

考えられるのは、その歌いにくい音域が、あなたの声帯の運動パターンが変化を始める場所だからです。
興味深い事に、あなたの声帯の運動パターンは大きく3~4つ(多い人ではさらに多く)あるのです。
この運動変化が起こる瞬間を、私は“ブリッジ”や“パッセージエリア”と呼んでいます。(イタリア語では“パッサージョ”と呼ばれています)

このブリッジというものは、すべての人が持っているもので逃れる事はできません。
ただし、車やバイクのギアチェンジを上手に行うように、これらのエリアの継ぎ目をなめらかにする事はできます。
【バリトンの男性】
1つ目は中央のドの下のシくらいから
2つ目は中央のドの上のミくらいから
3つ目は中央のドの上のラくらいから

【テノールの男性】
1つ目は中央のドの上のミくらいから
2つ目は中央のドの上のラくらいから
3つ目はそのさらに上のレくらいから

【アルトの女性】は大体テノールと同じです。

【ソプラノの女性】
1つ目は中央のドの上のラくらいから
2つ目はそのさらに上のミくらいから
3つ目はさらに上のラくらいから

一般的には上記のように言われています。
これより1~3つ以上のブリッジを持つ歌手もいます。
特にソプラノ歌手の場合は、多くの場合でこれ以上たくさんのブリッジを持っている事が多いようです。

声の種類について

ヘッドボイスとは、みなさんが高い声を歌う時に必要とされるボーカル・テクニックです。
トレーナーによっては「芯の通った裏声」などと表現をされる方もいらっしゃるようです。
歌手の体感としては、上頭部~後頭部にかけて共鳴を得ているように感じられます。
チェスト・ボイスは、基本的にみなさんが話している時の声帯の状態です。
声帯は内側から外側まで全体が振動しています。
歌手の体感としては、主に口の中、若干胸に共鳴を感じることができます。
各声区の間をスムーズにつなげる時に起こる声です。

表現力と歌唱テクニック

まず、「いい声だね。」と言われる事に対して誇りを持ってください。
人が「いい声」と感じるのは他にはない珍しい声であったり、人の心を癒したり、声から心や感情を感じやすいということだからです。

トレーニングでは声を豊かにしたり太くする事はできますが、あなたの声の特徴を変えることはできません。
まずは「いい音色の楽器を持って生まれた」事に感謝をして良いと思います。

さて、表現力についてですが、多くのアーティストの曲を多く聴き、コピーする事が最もおすすめです。
「なぜこの人の声はエモーショナルに聞こえるのだろう?」と言う事を意識しながらマネをしてみてください。
きっと多くのヒントが隠れていると思います。自分の好きなアーティストただ一人に対してではなく、多くの歌手、または自分の得意のジャンルから離れているアーティストでも試してください。

それを行う事で、あなたの得意とするジャンルの曲に対しても良い影響を及ぼしてくれます。(あなたの好きなアーティスト1人のまねばかりをしていたら、それこそ物まねになってしまいます)
そして「歌はあなたの心から歌うものである」と言う事と、「歌を楽しむ事」を忘れずに続けていってください。